地図:旅行行程プラシド・ドミンゴ・リサイタルマドリッドのテアトロ・レアル

・2014年6月の東京クオリテリア代表者の単独旅行地図。夜行寝台列車、夜行連絡船を駆使すると過密スケジュールもこなせます。
鉄道・航空時刻表や地図を読みこなす力が必要ですが...。 聴きたい音楽を贅沢に網羅した音楽旅行は、
既存のパッケージ・ツアーに求めても、それは無理。(左)
★これ(→ )が、その旅程表。東京クオリテリアがお客様に提案する旅程表も同様のカレンダー形式で直感的にわかりやすい方法で提示致します。

・モーツァルト/ヴェルディ・オペラの有名なアリアに続き、当夜のプログラム後半は、サルスエラ。 大御所プラシド・ドミンゴに勝手に
合わせてノリノリの観客の合唱と”ブラーヴォ!”の嵐が延々と...(中)、終演後も会場のテアトロ・レアル前は興奮冷めやらず(右)



最近の音楽事情メモ 〜エンタテーメントの観点で

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REPORT-5
【 2015年 11月 ヨーロッパ 】


...●11/9(月) at (パリ)フィルアルモニー・ドゥ・パリ
....アンドリウス・ネルソンス指揮ルツェルン祝祭管、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ独奏)
....マーラー交響曲第5番、プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
....【評価AA】この日、日本からパリに到着後の演奏会で、翌日も同一プログラムの演奏会が組まれている。
........2014年12月にパリに本格的コンサートホールができ、また久しぶりのアルゲリッチの演奏でもあり
........聴いてみた。会場は、パリ北駅の東2kmくらいに位置していて、コンセルバトワールなど音楽関連施設が
........集まっている場所。パリ管弦楽団等、国内外のメジャーな演奏団体の会場はこれまでのサール・プレイエルから
........ここに移動している。
........当夜は、ガン撲滅に向けたパストゥール研究所の活動を支援するチャリティー演奏会のため、翌日の演奏会
........よりもチケット料金が15%程度高かった。
........さて、アルゲリッチのピアノ演奏だが、プロコフィエフ特有のどこか無機質な打楽器的リズム感と、打鍵の確かさは、
........依然健在で目を見張るものがある。(個人的には、協奏曲ならシュマンあたりを聴きたいのだが)
........アンコールもやはりプロコフィエフからで技術は完璧で大きな拍手が続いた。
........最後のマーラー第5。この会場の良さも出ているのか、音が良く鳴っている。指揮者のA.ネルソンスは体が固そうな印象だが
........オケはさすがに上手くコントロール出来ていて、見ていて爽快とはこのこと。さすが次期ベルリン・フィルの音楽監督候補
........だけはある。第4楽章アダージェットでのオケの官能的なまでの音色はこのホールの影響もあるのかも知れない。
........最終楽章はこの曲のキーでもあるが、なかなか満足いく演奏には出くわさないが期待してなかった意外な分AAとした。
........翌朝、チューリヒ乗継で、さらに夜行列車でウィーンに行ったが、パリを発った3日後にテロが発生してしまった。

...●11/11(水) at (ウィーン)ムジークフェライン
....サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル
....ベートーヴェン:交響曲第2番、第5番「運命」
....【評価AAA】指揮者ラトルのベルリン・フィルでの総仕上げの意味で、2015/2016年シーズン前半は、ベートーヴェン交響曲全曲
........演奏会(5日間)をベルリンで2サイクル、ウィーン、パリ、NewYorkで各1サイクル予定している。今回、ウィーン・フィル
........の本拠地に乗り込んでの演奏会だが、期待以上に、特に第2番が、第一楽章冒頭から音をえぐり出すようなド迫力で
........始まったのには、度肝を抜かれた感じだ。ハイドン的な引き締まった名演奏ではなかったか。想定外だ。弦楽5部も
........これまで聴いてきた中でもすさまじい演奏だ。フルートのエマニュエル・パユ、ホルンのシュテファン・ドールが各々
........木管、金管群を上手く統率できているあたりもこのオケの水準の高さを物語っていると思う。第5「運命」はある意味で
........予想通りのまとめ方で上手いが、もう少し大見得を切る表現もあっても良かったような気もする。

...●11/12(木) at (ウィーン)ムジークフェライン
....サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル
....ベートーヴェン:交響曲第8番、第6番「田園」
....【評価AA】コンサートマスターが前日のスタブラヴァから(多分)ノア・ベンディクス=バルグリ(だと思う)に代わった。
........ラトルが個人的に得意としている分野は、この第6、シューマン第3「ライン」、シベリウス第2といった自然の風景を
........彷彿とさせる曲のような気がしている。イギリス人だからかもしれない。第6の雷鳴と雨の激しい場面から一転して
........晴れ間が見えてくる時の何とも名状しがたい安堵感、平和な印象など音楽の歌わせ方はさすがである。9曲の中では
........第8番が個人的には最も好む曲で簡潔な中にもベートーヴェンらしさが凝縮しているところだ。第8を聴くたびに、'84年
........ロンドン・ロイヤル・フェスティバル・ホールでのロンドン響定期演奏会での当時の常任指揮者クラウディオ・アバドの
........名演奏を思い出す。
........今回のウィーン公演では、第一コンサートマスターの樫本大進、ヴィオラ主席の清水直子、第一ヴァイオリン奏者の町田琴和の3人共にいない。
........2016年5月の東京公演でのチクルスには、里帰りも兼ねて来日公演に帯同することになると予想します。

...●11/13(金) at (ミュンヘン)ヘルクレスザール・レジデンツ
....マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団、アンネ・ゾフィー・ムター(ヴァイオリン・ソロ)、マクシミリアン・ホルヌング(チェロ・ソロ)
....シベリウス:交響曲第2番、ベートーヴェン:VnとVcの為の二重協奏曲
....【評価B】最初のドッペル・コンチェルトはムター、ホルヌング共に好演だった。ムターも女王の貫録が出てきた。ホルヌングは元は
........バイエルン放響のメンバーだったが、いつの間にかソロに転身しているが、2年前の東京ではブラームスのチェロ・ソナタを
........印象的な演奏を聴かせてもらったので、懐かしかった。
........さて、シベリウスだが...、バイエルン放響はバランス良い機動力ある演奏で好きなオケだが、木管群の取りまとめ役は
........どこだと言いたい。Fl,Ob,Cl,Fgの音のブレンドの中から想起されるはずのシベリウスの世界が見えてこないヨ!トランペット、
........ティンパニーの入り方にもどうも違和感を覚える演奏だった。

...●11/15(日) at (ウィーン)コンツェルト・ハウス
....ダニエル・バレンボイム指揮ウィーン・フィル
....マーラー:交響曲第9番
....【評価A】演奏開始前に、2日前のパリでのテロ犠牲者に対し黙祷。
........この日のコンサートには首相クラスのVIPラが出席し、その周辺警護のSPも着席していて、どこか落ち着かない。
........私の近くのSPがホール内で他のSPと携帯電話で連絡とりあっているとは、どういうこと!こんな輩は会場から
........叩き出してほしい! こういう物々しい中でのマーラー第9になるとは...。 
........太いティンパニーの音による枠組みで構成している感のある演奏で、その中で、ホルンの音色はとても良い。
........第三楽章は、この曲では個人的には最も気になるところだが、終楽章を前にしたもっと自暴自棄的なのめり込む
........演奏を期待したかった。聴衆の半分は定期会員かもしれないが、日曜日の午前中にこの曲を聴いて、どれほどの
........人が感動しただろう。バレンボイムの重量感ある演奏は印象的ではあっても、この日のマーラーはどこかしっくり
........こないのは演奏時間帯が午前中以外にも変なVIPと取り巻き連中の存在が影響しているかと思う。

...●11/16(月) at (ミラノ)スカラ座
....マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)
....ショパン(スケルツォ第3番、幻想ポロネーズ、舟歌、ノクターン2曲)、シューマン(幻想曲)等
....【評価AA】クラシック音楽歴40年超になってきたが、おこがましいが、ポリーニと共に歩んできた私の40年とも言える。
........東京で彼のリサイタル5回(ブレーズ70歳記念演奏会ではサインもらったり。)、ロンドン・ロイヤル・フェスティバル・
........ホール、シャンゼリゼ劇場各々2回、サール・プレイエル、ルツェルン、ウィーン・ムジークフェラインで各1回、
........ベルリンではアバドとの競演含めて3回など...思い返すと感慨深いものがある。
........学生時代に、彼のショパン「エチュード」がグラモフォンから出た時の感銘からの40年。今はもっと落ち着いた
........精神的なゆとりを感じる演奏だ。激情のショパンの場面でも、過去を追想するところのあるロマンチックな演奏が
........今の私にはピッタリなところも演奏会に足を運ぶ要因だ。
........アンコールは2曲:24の前奏曲からニ短調、バラード第1番
........イタリアのお客さんの聴く態度もだめだねえー。演奏中にフラッシュで撮影したり。おしゃべりが多い。なんだか
........静かな性格のポリーニがかわいそう。”帰国演奏会”だというのに。


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REPORT-4
【 2015年 8-9月 ヨーロッパ 】


...●8/26(水) at (バイロイト)祝祭劇場
....キリル・ペトレンコ指揮バイロイト祝祭管、フランク・カストルフ演出、シュテファン・フィンケ(ジークフリート役)、
....シュテフェン・ミリング(ハーゲン役)、マルコ=ブールメスター(グンター役)etc.
....ワグナー:『神々の黄昏』
....【評価AA】3年連続のカストルフの演出には期待していなかったが、一方、久々の歌手陣の強靭な声には十分満足いくもので、
........バイロイトまで来た意味は大いにあった。強い意志を示すジークフリート役のフィンケ、世界支配を企てる
........邪悪なハーゲン役のミリングは特に印象的。これら歌手陣も指揮者ペトレンコの、ときとして深淵まで
........えぐるような強烈な演奏と強弱のニュアンスがあったことによりいっそう惹き立ったものと言えるのではないか。
........祝祭劇場の奈落から聴こえてくるペトレンコの音楽は『パルジファル』なんかでは効果がありそうな気がする。
........来年2016年のプログラムも発表になったが、ペトレンコは出ない。
........昨年12月にベルリン・フィル定期でマーラー第6を演奏予定だったのでわざわざ聴きに行ったがペトレンコ自身の  
........キャンセルでチャンスを逸したが、メインの交響曲でのペトレンコは是非聴きたいと改めて思った。

...●8/30(日) at (ライプチヒ)新ゲヴァントハウス・ホール
....リカルド・シャイー指揮ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、マーティン・フレスト(クラリネット独奏)
....R.シュトラウス:交響詩「死と変容」、メタモルフォーゼン、交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルのゆかいな悪戯」
....モーツァルト:クラリネット協奏曲
....【評価A】11時からの本演奏会の前に、9時半から聖トーマス教会での礼拝の様子を見に行った。オルガン曲と少年合唱団の
........モテットなど心洗われるひと時であった。この直後の演奏会最初の曲目が「死と変容」。ティンパニーのしんみりと
........静かな連打がしばらく続き、人間の容体が着実に最期に向かいつつある表現、この曲の一番魅かれる個所でもある。
........続くメタモルフォーゼンと共に、このオケの弦楽セクションの渋さと重厚なハーモニーは素晴らしい。年初に聴いた
........ベルリン国立歌劇場管の演奏と並ぶ名演奏ではないか。モーツァルトのクラリネット協奏曲はもっと別な切り口で
........人生の終盤における諦観がフレストの独奏によって上手く表現されていたが、ペーター・シュミードルのような
........淡い味わいをさらに望みたい。将来期待できる逸材だ。最後におかれたメインの曲の「ティル」は、本プログラムでは
........不要だ。歌曲集「4つの最後の歌」あたりを聴きたいところだ。この曲は人生の終焉には絶品だ。とはいえ、
........ひとつの演奏会でソプラノとクラリネットのソロを加えるのは採算的には難しいのかもしれない。

...●8/31(月) at (フィンランド・ラハティ)シベリウス・ホール
....レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィル
....シベリウス:交響詩「タピオラ」、組曲「レミンカイネン」他
....【評価B】シベリウス生誕150年の今年のシベリウス音楽祭は1週間にわたり、例年以上にシベリウス演奏のスペシャリストが
........ラハティに集結し連日演奏された中から本日8/31と9/1の2公演を聴いた。
........注目は最初の「タピオラ」。幻想的な雪原の、遠くの黒い森から鳴り響くような厳しくも美しいこの曲は、シベリウス
........最後の”交響曲”ともいえる。本演奏は悠久な時間と素朴で荒々しい大自然を表現した好演だ。後半部での弦の
........ピツィカートに乱れがあったが少し残念なところ。本演奏はもう少し演奏のスピードにメリハリがあっても良かったと
........思っている。私にとって本日の一番の注目曲だったので...。

...●9/1(火) at (フィンランド・ラハティ)シベリウス・ホール
....オズモ・ヴァンスカ指揮ラハティ響
....シベリウス:交響曲第4番、第3番、「森の精」
....【評価AA】シベリウスの演奏でラハティ響の演奏レベルを飛躍的に向上させたヴァンスカ。特に彼の第4番は好きな曲で、
........その出だしのチェロ独奏に注目した。やはり北国の冬を肌で知っているオケなのだ。ベルリンから飛行機で来た甲斐
........があった。60年代のカラヤン/ベルリン・フィルによる重厚で深い低音で始まる壮絶な演奏とはまた別の淡々とした
........なかにも民族色豊かで幻想的なまでの孤独感を表現し感激した。冬の北海道を知っている者として共感できる演奏!
........余談だが、当日隣席に偶然指揮者ヴァンスカの2番目のお兄さん夫婦がいて名刺交換までできたのはさらなる驚きだった。

...●9/3(木) at (ベルリン)フィルハーモニー・ホール
....ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管
....シェーンベルグ:管弦楽のための変奏曲、浄められた夜、管弦楽のための5つの小品
....【評価AAA】今年のベルリン音楽祭、最大の注目公演だ。3年前にバレンボイム/ベルリン・シュターツカペレのブルックナー
........交響曲全曲演奏会をウィーンのムジークフェラインで、その中の第8番の上手さに舌を巻いたが、その彼らが、
........シェーンベルグの主要管弦楽曲を演奏するという、聴かずにはいられない。浄められた夜での弦楽部の透明感ある
........トレモロなど、もしかしてベルリン・フィル以上の上手さではないのか。管弦楽のための変奏曲のオケのバランスと
........バレンボイムの指揮捌きはさらに絶品だ。現在では既に古典の領域に分類されるようになってきたのだ。
........しかしながら聴衆の反応はどこかピンとこないような面持ちの放がまだ多いかなといった印象。普段から聴いている人
........でないと難しいのかもしれない。だが私の評価は断トツの秀演、とした。

...●9/4(金) at (ベルリン)フィルハーモニー・ホール
....マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ響
....ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」、シェーンベルグ:変奏曲、J.アダムス:AbsoluteJest
....【評価B】このユダヤ人指揮者(略してMTT)の昨年のウィーン・フィル定期でのマーラー第5が好演だったので、本拠地オケ
........での本家での演奏を期待していた。確かにこのオケのレベル向上に大きく貢献したMTTだとは思う。2番目の曲、
........カナダの弦楽四重奏団を独奏にしたオーケストラ曲だが、独奏部がバックのオケの音に埋もれてしまっているのは
........残念。シェーンベルグの曲にしてもヴィオラ独奏の際に、やはりオケ全体の音に聴こえなくなる場面も多々あり。
........金管も強すぎない?全体の音のバランスがよくないのでは? J.アダムスの曲など聴いた後の「英雄」は音楽作品
........としての完成度の高さを再認識したくらいでした。

...●9/5(土) at (ボン)ベートヴェン・ホール
....ズービン・メータ指揮イスラエル・フィル
....マーラー:交響曲第9番
....【評価A】9月のベートーヴェン音楽祭は今回が初参加。ベルリン音楽祭と時期的に重なることもあり、掛け持ちの演奏団体も
........結構見受けられる。何か特徴出さないとベルリン音楽祭やルツェルン音楽祭に客を取られるような気がした。
........数年前にウィーン・ムジークフェラインでこのコンビによるマーラー第5を聴いて、余りに坦々とした演奏内容に
........正直感動などまったくなかったので、2度目の正直で頑張ってほしいところ。メータも80歳になり足腰がかなり
........弱っている様子。マーラーにのめり込むような、そして、ときには絶叫するような演奏は望めなかったが、終楽章など
........メータ自身のいまの想いがにじみ出ていたところもあり、静かに感動できる演奏会でした。
........配布冊子の記事では、すでに2020年(=東京オリンピック年)のベートーヴェン生誕250年に向けた構想検討が始まっていた。
........ベートーヴェンのピアノ作品を250曲演奏するとか!企画が楽しみです。


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REPORT-3
【 2015年 2月 ヨーロッパ 】
  

...●2/5(木) at (フランクフルト)アルテ・オーパ
....アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮hr交響楽団(旧フランクフルト放響)、ナタリー・シュトゥツマン(Alt)、少年合唱団
..................「hr」とはヘッセン州のルントフンク(放送)・シンフォニーの略で、日本では旧名が依然わかり
...................やすいためか使用されているが、現地では hr Synphony Orchestraが使われている。
....マーラー:交響曲第3番
....【評価A】ホールの改装後、初の演奏会出席ということで楽しみにしていた1夜。このオケは日本では人気のインバル
........指揮で過去に1度聴いているが、指揮者によらず粒のそろった安定した演奏をすることは変わっていない。
........ドイツのN響的な存在。第三楽章途中、聴衆のアクシデントで一時、演奏が中断したが、全体的印象はやはり良い。
........第5楽章の少年合唱の箇所は、クリスマス時期に耳にしそうな旋律を清らかに歌いあげられ、交響曲第4番に
........続いていくことが分かる。また終楽章の大上段に構えたような2台のティンパニーの強打など、リヒャルト・シュト
........ラウスの交響詩「ツァラツストラ」を改めて想起させるところもあり興味深かった。
........彼は今秋来日予定。尚、アルトのシュトゥツマンは、2011年5月のアバド指揮ベルリン・フィル特別演奏会での
........マーラー:交響曲「大地の歌」でも名唱を聴かせ、久々の生に感動した。

...●2/6(金) at (ベルリン)フィルハーモニー音楽堂
....サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル、レオンダード・カヴァコス(Vn)
....シベリウス:交響曲第3番、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番
....【評価A】今年生誕150年の作曲家シベリウスのシリーズ(計4公演)のうち今回は2公演を聴いた。この日の注目は
........交響曲第4番かな。(翌日の注目はは第6番、第7番。)第4番の冒頭、チェロの重厚さは、若い新首席奏者のようで
........少し物足りなさを感じたね。冬の雪深い土地に住むくらい情感がいまひとつと言えなくもなかった。圧巻は
........第3楽章で、エマニュエル・パユのフルートとオーボエの掛け合いと、その後の弦楽5部の全奏はさすがにベルリン・フィル
........だ。音の透明さと重量感はさすが。ラトルの指揮もさえている。カヴァコスを独奏に迎えた協奏曲、絶妙の
........上手さは言うまでもないが、さらに言えば、かつてのヘンリク・シェリングのような諦観の気持ちも表出
........されると一層の感動を呼ぶと思った。上手いことは間違いない。この春、ピアノのユジャ・ワンとのブラームスの
........ソナタも聴いてみたくなる。

...●2/7(土) at (ベルリン)フィルハーモニー音楽堂
....サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル
....シベリウス:交響曲第5番、交響曲第6番、交響曲第7番
....【評価AA】日本では一度も聴いてないが、ラトル/ベルリン・フィル(BPO)のコンビを欧州、北米でこれまで何度聴いた
........だろう。ラトルも2017年シリーズからはロンドン響に移ることが最近発表されたが、次期BPO音楽監督はどこの国
........の出身者か興味がわく。在籍最低でも10年が条件とすると、デュダメルあたりが最有力候補の匂いがしてきた
........が。さて、当夜の注目は、第6番と第7番。第6は、個人的には幼児記憶と共にある心象風景にピッタリで、
........この曲には”バルト海の乙女”とも言われている。冒頭、教会のドーリア風旋律の弦楽の調べは極上!
........第三楽章のフルートとファゴットの音の絡み合いは、真冬の雪国で育った私には体でわかる旋律だ。シベリウス
........独特の暗いロマンティシズムと、遠景に黒い森を望む雪原に佇む時の寂寥感が共感を呼ぶ。第四楽章に入ると
........弦楽合奏全奏により主題が再現されシベリウスの音の世界が終末に向かう...。自分の原点に戻るような
........錯覚を覚えてしまう。 ラトルはその後の第7番を第6番との休みを置かず続けて演奏するが、コンサートの
........流れとしては自然かもしれないが、個人的にはべつの音楽として位置付けている。 第7番は単一楽章による
........シベリウス後期の凝縮させた音楽で、交響詩「タピオラ」にも見受けられる。両方とも、非常に感銘深い曲だ。
........イギリス系指揮者はシベリウスを得意としている事が多いが、ラトルも上手い!もちろんBPOの演奏技術の
........高さはいまさら言うまでもないが。

...●2/8(日) at (ミュンヘン)ナツィオナル・テアター
....キリル・ペトレンコ指揮バイエルン国立歌劇場管、ディアナ・ダムラウ(So:ルチア役)
....ドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのルチア」
....【評価B】久しぶりのベル・カント・オペラ。それもドニゼッティ。ドイツ人ダムラウが歌う”イタリア女”の
........「狂乱の場」に興味津津。席がイマイチということもあり、美声が届きづらい面もあったが、それでも
........演技と歌の一体化は問題なし。第三幕の《彼の優しい声が》が頂点だが、体の向きによっては、声が必ずしも
........美声としては聴き取れなかったのは少し残念。前列で聴きたかった内容。
........

...●2/11(水) at (ウィーン)コンツェルト・ハウス
....ダニエレ・ガッティ指揮ウィーン・フィル
....ブラームス:交響曲第3番、交響曲第1番  
....【評価B】同じ月にニューヨーク公演(allブラームス・プロで、交響曲全4曲と「ドイツ・レクィエム」の3公演)を
........予定しているガッティ/ウィーン・フィル(VPO)コンビだが、先回りしてコンツェルト・ハウスでに1&3番を。
........最初の演奏の第3の冒頭、まだ音楽が乗っていない感じで、男性的で安定したブラ3に少し不安を感じた。
........第2楽章に入ってのオーボエのウィーン風の音はやはり絶品。第3楽章の再現部、ホルンは注目の箇所の
........ひとつだが、安定した無難な演奏だった印象だった。この曲は、コンサートの前座に置く曲ではないと
........昔から思っている。言いたいことはまだあるが、次の第1番へ。この曲は指揮者の感情がオケを通じて
........前面に出やすい曲だが、古いかもしれないが20世紀の”巨匠の時代”の名演を知っている者としては
........当夜のVPOの演奏はまあまあの演奏と言いたい。
........ガッティの指揮ぶりはバーンスタイン風のところもあるが、強烈な個性はまだだしきれていない段階のようだ。
........VPO演奏会への期待はもっと上ですから。∴厳しく【評価B】です。余談だけど、第2楽章でソロ演奏した
........コンサートマスターのライナー・キュッヘル氏も在籍が長くなってきたが、本演奏会の休憩時間中に
........第一ヴァイオリンのマルティン・ツァロデク氏と話す機会があったが、キュッヘン氏退団は2016年に少し延びた
........とのこと。

...●2/12(木) at (チューリヒ)チューリヒ歌劇場
....ファビオ・ルイージ指揮チューリヒ歌劇場管
....ベリーニ:歌劇「ノルマ」
....【評価B】今回の音楽旅行のオペラは、”狂気”を自分用テーマとして選んだが、2/8のドニゼッティの次は
........やはりベル・カント・オペラのベリーニ。オケは伴奏程度の軽めに動く中で、のびのびとしたイタリア的な
........歌が前面にでてくるオペラ。ドラマは深刻な愛の三角関係だが、さすがメロディーメーカーのベリーニ、
........抒情的場面が散りばめられていて、歌好きにはたまらないと思うが、個人的には少し辟易してくる時も。
........ここのオペラハウスはここ10数年来、前衛的な取り組みをしてきて注目されているが、その動向には
........今後も要注意であり、エンターテインメント的視点でもオペラではチューリヒは外せないと思う。
........今回は、マリア・カラスとは言わないがもう少しスター歌手の出演がほしかったところ。

...●2/14(土) at (ハンブルグ)ハンブルグ国立歌劇場
....シモーネ・ヤング指揮ハンブルグ国立歌劇場管、アグネス・バルツァ(Ms:クリテムネストラ役)
....R.シュトラウス:歌劇「エレクトラ」
....【評価A】昨今新しい動向がうかがえるハンブルグを訪問することと、チューリヒ以上に先進性のあるオペラは
........ハンブルグでということも。また、イタリア・ベル・カント・オペラを2件聴いてきたので、ここは
........ドイツものR.シュトラウス「エレクトラ」に足を運んでみた。シモーネ・ヤング指揮と、クリテムネストラ役の
........アグネス・バルツァにで会いたかったので。特にカラヤンお気に入りのアルト歌手のA.バルツァはLPレコード
........時代の「カルメン」、モーツァルト「レクィエム」でも主役を務めていたこともある。
........さて「エレクトラ」だが、大管弦楽を背景に、それも調性崩壊ギリギリの音楽と歌には、シェーンベルグ
........の活躍していた時代の影響もあり、オペラとしては余程の通でないと楽しめない。主役のソプラノも
........イタリア・オペラのそれもベル・カントの後には違和感を感じるが、それをどちらかというと悪役側にたつ
........不貞の母クリテムネストラ役A.バルツァの大きな歌い回しが補っている公演だった。


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REPORT-2
【 2014年12月 ヨーロッパ 】


...●12/5(金) at (ナポリ)テアトロ・サンカルロ
....ウート・ウーギ(Vn)、アレッサンドロ・スペッキ(Pf)
....ヴィターリ:シャコンヌ、パガニーニ:ラ・カンパネラ、ヴァイオリン協奏曲第2番からロンド、
....ベートーヴェン:「クロイツェル」ソナタ他
....【評価:B】現時点では大御所の一人となったミラノ生まれのU.ウーギのリサイタル。特にヴィターリと
.........パガニーニが本場イタリアでのことでもあり、前者はバロック時代の作品でもあり感動しましたね。
.........場所は北イタリアのクレモナ、マントーヴァあたりで聴けたら、もう最高!パガニーニは、隣接する
.........弦に触れて雑音らしき音とも混ざり少しがっかり。全体的にはまあまあの出来といったところでした。

...●12/6(土) at (ベルリン)フィルハーモニー音楽堂
....ダニエル・ハーディング指揮ベルリン・フィル
....マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
....【評価:A】当初、指揮者にはバイロイト音楽祭で脚光を浴びたキリル・ペトレンコが予定されていたが、
.........新日本フィルなどにも客演するハーディングが代役で登場とは!ペトレンコが声楽なしのこの曲を振る
.........というので大いに注目していた。この曲はオーケストラの力量をしるにはうってつけで、さすがは天下の
.........BPO!指揮者なしでも、要所要所をメリハリ効かせた演奏ができますよ、といった指揮者をしっかり
.........サポートしながらの力演でした。ペトレンコだったらどんな演奏になったか、少し残念。特にマーラーは
.........最終楽章が重要であり、第6のは第5以上にしっかりした構成でもあり、やはりペトレンコで聴きたかった!

...●12/7(日) at (ドレスデン)ドレスデン国立歌劇場(ゼンパーオーパ)
....クリスチャン・ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管、A.ハルテロス(So:元帥夫人役)
....R.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」
....【評価:A】繊細、精妙なオケの伴奏に乗ったウィーン末期のデカダンスの表現が傑出していた。このオペラ
.........「代替り」がキーワードかな。夫の代わりに若いオクタヴィアンに心寄せる元帥夫人。しかし寄る歳には
.........かなわず、といった情緒表現がA.ハルテロスの上手さ。第二幕のオックス男爵役の声量も立派でした。
.........人生は、時と共に代替りと同時に心変りも付きものなんですね。

...●12/8(月) at (ウィーン)ムジークフェライン
....マイケル・ティルソン・トーマス指揮ウィーン・フィル
....マーラー:交響曲第5番他
....【評価:AA】サンフランシスコ響のレベルを大きく向上させたユダヤ人指揮者(名前の略はMTT)が
..........ウィーン・フィルを振るなど、来日演奏では考えられないコンビ。だからヨーロッパで聴く演奏会は
..........面白いのです。同時にいまさらながらVPOの弦楽合奏の美しさにも納得。第4楽章アダージェットの
..........ヴィオラ、第5楽章の金管群の艶のある壮麗さなど天下一品!

...●12/9(火) at (マドリッド)テアトロ・レアル
....<モンセラート・カバリェへのオマージュ> マリエラ・デヴィア、ジェシカ・ヌッチオ、アンゲレス・ブランカス他
....ドニゼッティ「アンナ・ボレーナ」、ヴェルディ「椿姫」「運命の力」、プッチーニ「ジャンニ・スキッキ」、ベリーニ「ピラト」他
....【評価:B】中堅ソプラノ歌手によるカバリェ得意のアリアを熱唱。カバリエ全盛期のフィルムをはさみながら、次代の
.........スター歌手となるソプラノのオンパレードでした。M.デヴィアのベリーニ、ドニゼッティ・アリアなどの
.........ベルカントは美しかったと思います。カバリェも1曲くらい歌ってほしかったところだが。

...●12/11(木) at (バルセロナ)カタルニア音楽堂
....トマス・ヘンゲルブロック指揮バルトハザール・ノイマン合奏団&合唱団
....バッハ:ミサ曲ロ短調
....【評価:A】バロックを得意とするヘンゲルブロックだが、このコンパクトな会場に最適な声楽とオケの規模と
.........音量で好演。前日まで、俗性たっぷりの曲ばかり聴いてきたので心洗われる思いがしましたね。
.........各”楽章”の終わりの合唱とオルガンのハーモニーも美しかったこと。しみじみと堪能できる
.........ロ短調ミサ曲でした。

...●12/12(金) at (ミラノ)スカラ座
....ダニエル・バレンボイム(Pf)
....シューベルト:ピアノ・ソナタ変ホ長調、イ短調、ニ長調
....【評価:B】バレンボイムという人、器用で体力あるね。スカラ座で自身のピアノ・リサイタル、オーケストラ指揮、
.........シーズン開幕演目の「フィデリオ」オペラの3種類もこなすわけですから。ただリサイタルでの
.........シューベルト3曲は、これは通に向いた選曲のようで私にはやや冗長さを感じられた。

...●12/13(土) at (ミラノ)スカラ座
....ダニエル・バレンボイム指揮スカラ座管、クラウス・フローリアン・フォークトの代役(Te)
....ベートヴェン:歌劇「フィデリオ」
....【評価:B】ミラノ・スカラ座の2014/2015シーズン開幕演目なので様子を見に。なんで「フィデリオ」なの?
.........と言いたくなる全体的な印象。スター歌手はなし? 音楽伴奏なしの台詞(ジングシュピール)が
.........ときどき現れ(「フィデリオ」だから当然だが)、イタリアには合わないような気がする。おまけに演出は、
.........終始監獄が舞台に存在し重々しく、救出劇はわかるが、ならばモーツァルトの「後宮からの逃走」を
.........当てたほうが良かったような...。満足したのはレオノーレ序曲くらいかな。これは指揮者バレンボイム
.........の上手さが際立ってました。

...●12/16(火) at (バルセロナ)ラウディトリ音楽堂
....エマニュエル・パユ(Fl)、エレック・ルサージュ(Pf)
....プーランク:フルート・ソナタ、プロコフィエフ:フルート・ソナタ他 <アンコール>ラヴェル:シチリアーノ
....【評価:AA】ベルリン・フィルのソロ首席フルート奏者パユのリサイタル。デュティーユ、プロコフィエフの各ソナタ
..........は圧巻のテクニック、さすが。アンコールでは名曲「シチリアーノ」(フォーレ)を情感たっぷりに。上手い!
..........会場にはフルートを勉強中と思われる若い人が大勢来ていたが、こういう層を多く集客できる演奏家が
..........もっとでてこないとクラシックは衰退するよと業界に言いたいね。

...●12/17(水) at (バルセロナ)カタルニア音楽堂
....アンナ・ネトレプコ(So)、リカルド・マッシ(Te)、マッシモ・ザンネッティ指揮ヴァレス交響楽団
....ヴェルディ/プッチーニ歌劇「イル・トロバトーレ」、「ドン・カルロ」、「マクベス」、「マノン・レスコー」からアリア
....【評価:AAA】現在、ソプラノの最大の人気歌手といえばネトレプコ、のリサイタル。2014年5月に体調不良で中止した
...........再公演バージョンらしい。当夜は今回の音楽旅行の目玉の一つでした。
...........出産後、やや太った感じだが、高音域から低音域まで、そして弱音から強音まで一定の幅で安定した、
...........澄み切った声はさすがです。歌ものってくると、オペラを思い出してか歌う向きまで、演技まで思い出した
...........ようなステージ。聴衆もブラボー連発でした。かつてスカラ座で「ボエーム」のネトレプコを聴いたけど、
...........振付のあるオペラでよりも、そして下手すると”代役登場”の悲劇に合う確率の低そうなリサイタルの方が、
...........お目当ての歌手を堪能でるのではと思いました。(多分そうだとよ)


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REPORT-1
【 2014年 6月 ヨーロッパ 】
...●6/19(木) at ウィーン(ムジークフェライン)
....ヤンソンス指揮ウィーン・フィル
....ドボルザーク:交響曲第9番「新世界」、ショスタコーヴィッチ:交響曲第1番
....【評価:C】まず、指揮者がミッコ・フランクに変更!これで期待度、大いに落ちる。プログラムも
.........「新世界」が無くなり、今年生誕150年にちなみR.シュトラウスの「ティル」他に。
.........R.シュトラウス演奏は弦の艶やかさはやはり第一級。でもVPOに対する要求はもっと上だよ。

...●6/19(木) at ウィーン(フォルクスオーパ)
....ヴェルディ:歌劇「イル・トロヴァトーレ」
....【評価:B】フォルクスオーパでの正歌劇ということで、のぞきに。レオノーラのソプラノ、意外にも
.........美声で透る魅力も。いいんじゃない、この企画。今年後半も期待したい。オペラcheckの
.........ウィーンでのオプションが広がることは良いことですね。あとは、どれだけ実力のある歌手
.........を集められるかだ。

...●6/20(金) at ウィーン(国立歌劇場)
....F.W.メスト指揮ウィーン国立歌劇場管
....R.シュトラウス:歌劇「ナクソス島のアリアドネ」
....【評価:C】目玉のフォークト、シェーファの2人ともキャンセル!どういうこと!カネ返せと言いたい。
.........こんな体たらくなことやってると、フォルクスオーパに抜かれるぞ!そういうなかでのメスト
.........の指揮ぶりに頭が下がる面もありました。また、VPO定年になったと思ったクラリネットの
.........名手ペーター・シュミードルがピットで若手をバックアップしてた。一昨年、東京で聴いた
.........VPOの室内楽メンバーによるブラームス「クラリネット五重奏曲」の枯れた味わいが忘れられないから、
.........指揮者F.W.メストとシュミードルに免じて...といきたいが、興業という視点では、評価は「C」ですヨ。

...●6/22(月) at ミラノ(スカラ座)
....アニヤ・ハルテロス(S) シューベルト&ブラームス 歌曲の夕べ
....【評価:A】旅行出発の直前くらいに公演が決まったので、旅程に修正を加えて当夜はミラノ・スカラ座に寄ることとなった。
..........スカラ座はこれがあるから、旅程作成では油断できない。公演終了後、ナポリ行きの夜行列車で即移動し
..........帳尻あわせましたが。 ハルテロス、女性版ディートリヒ・フィッシャー=ディスカウだね。あ〜このラテンの
..........甘い香りのする優しい声と艶、シューベルト歌曲にうっとり!

...●6/24(火) at フィレンツェ(”新”オペラハウス兼コンサートホール(Opera di Firenze))
....G.デュダメル指揮ベルリン・フィル  〜ベルリン・フィルの北イタリア・(プチ)ツアー:こことヴェローナだけでした。
....ブラームス:交響曲第1番、チャイコフスキー:「ロミオとジュリエット」&「テンペスト」
....【評価:A】フィレンツェSMN駅から徒歩で10分くらいのところにできた新オーディトリアム。
.........プログラムはどれもBPOを聴くにはうってつけ。
.........デュダメルのブラ1、聴けるね!「ロミオ&ジュリエット」の曲と共に、BPOの重量感、
.........というか大音量、そしてリズム感、合奏の上手さなど、中でもホルン等金管の歌わせ方、
.........いいですね!特に第4楽章。今後期待できそうなコンビですね。ラトル指揮にもそろそろ飽きが来たかな。
.........ここ数年、ラトルはロンドン、フィラデルフィアあたりに客演したり、今年の12月も
.........ソプラノ歌手の奥さんの影響(?)かヤナーチェクのホラー映画を想起するようなオペラを
.........振る予定だしね。今後の転進先も気になるところ。安心度(?)からするとBPOはVPOの上ですね。

...●6/25(水) at マドリッド(テアトロ・レアル)
....プラシド・ドミンゴ(T) 有名オペラ・アリアとサルスエラ の夕べ
....【評価:AAA】スペイン人ドミンゴの”帰国リサイタル”ということみたいで、前売りは全て完売。
............まず舞台に現れた段階で、拍手とブラボーの嵐から始まるとはね。歌劇場専属
............オケ伴奏つきで、プログラム前半は、モーツァルト、ヴェルディなどの有名アリア
............を熱唱。70歳代半ばで5階の天井桟敷にもビンビン響く美声!上手いしね。
............後半は、叙情的サルスエラ(スペイン版オペラ)。「El Gato Montes」(山猫(?))
............など、地元民にはポピュラーらしく隣席の3人連れの年配のご婦人など、ドミンゴ
............と一緒に歌い出すわ、終わると、”ブラーヴォ!グラシアス!ブラアァーーヴォー!”
............の大絶叫。いやはや、こんなノリノリのエンタテインメント、日本じゃ味わえない!
............だから止められない訳ですよ!本場での音楽の旅。

...●6/26(木) at マドリッド(国立音楽堂)
....キナン・ジョンズ指揮ローマ・サンタ・チェチーリア管
....ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
....【評価:B】パパーノ監督するローマ・サンタ・チェチーリア管のスペイン・ツアーに出くわしたので、
.........この秋来日するのに先駆け、異国で聴くこととなった。指揮者も初めてだが、第九の
.........力強さとオケも頑張ってるところが大いに気に入ったね。指揮者が若いせいか、勢いも
.........良く久しぶりの活きの良いベートヴェンでないだろうか。

...●6/27(金) at バルセロナ(テアトロ・リセウ)
....プッチーニ:歌劇「修道女アンジェリカ」と ルイジ・ダラピッコラ:歌劇「囚人」
....【評価:B】二人の作曲家のそれぞれの三部作から一部ずつ抜粋して組合せ演出した”短編オペラ集”。
..........演出は、両作品に共通する”隔絶”が下地になっていて舞台の中央に巨大な”鳥かご”が。
..........この鳥かごへの出入りが登場人物の心の内面を表現しているようだ。
..........目玉のバルバラ・フリットリがキャンセル!6/20のウィーンに続きガックリ・ショック。
..........初めてで、楽しみにしてたのに。音楽祭とか単独リサイタル以外は、有名歌手の
..........通常公演でのキャンセルは覚悟した方がよさそうですな。有名歌手はプライド高すぎでは?
..........まあ、とにかく今後のオペラ興業のあり方のひとつとして、複数作品の”組合せ物”で
..........演出で、そしてvisualで集客するやり方もアリかもしれない。

...●6/29(日) at パルマ・デ・マヨルカ(テアトロ・プリンシパル)
....プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」
....【評価:B】ショパン&ジョルジュ・サンドの逃避行で有名なヴァルデモサ訪問のため、ヴァレンシアから
..........夜行の連絡船でマヨルカ島へ来た。ここパルマ(Palma 注:イタリアのパルマはParmaだよ)にも
..........小規模ながら立派なオペラハウスがある。地元の人以外にも、ヴァカンス・シーズン到来という
..........こともありドイツ系が結構いたね。帰国時、パルマの空港にはドイツのAirBerlin機が
..........3機も駐機していたのには驚いた。(フランクフルト、ベルリン、シュトゥツガルト行き)
..........暖かくなるとゲルマン人の南下が増えるようだ。
..........さて、オペラだが、太った”絶世の美女”のトゥーランドット姫のソプラノ以上に
..........女奴隷リューのソプラノの方が、声は確かだった。歴史的な雰囲気も残しつつ
..........新演出も好演といえる内容でした。欧州人の感性での”中国もの”、舞台・演出も
..........どこか違和感は覚えるが、逆もあることだし、まあ良しとしましょう。


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